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派遣先の講ずべき措置等

 

1 概要

労働者派遣事業は、派遣労働者がその雇用されている派遣元事業主ではなく、派遣先から指揮命令を受けて労働に従事するという形態で事業が行われる。

このため、派遣労働者の保護を図るためには、現実の就業場所である派遣先において派遣労働者の適正な就業が確保され、派遣労働者が派遣先で指揮命令を受けることに伴い生じた苦情等が適切かつ迅速に処理されることが必要である

以上の観点から、一般労働者派遣事業であると特定労働者派遣事業であるとを問わず、派遣元事業主から労働者派遣を受けた派遣先は、次のような措置等を講じなければならない

@ 労働者派遣契約に関する措置(法第39条)

A 適正な派遣就業の確保等のための措置(法第40条)

B 派遣受入期間の制限の適切な運用(法第40条の2)

C 派遣労働者の雇用の努力義務(法第40条の3)

D 派遣労働者への雇用契約の申込み義務(法第40条の4、法第40条の5)

E 派遣先責任者の選任(法第41条)

F 派遣先管理台帳の作成、記載、保存及び記載事項の通知(法第42条)


 

2 労働者派遣契約に関する措置

 

(1) 概要

派遣先は、労働者派遣契約の定めに反することのないように適切な措置を講じなければならない(法第39条)。

 

(2) 労働者派遣契約に定める就業条件の確保

派遣先は、労働者派遣契約を円滑かつ的確に履行するため、次に掲げる措置その他派遣先の実態に即した適切な措置を講ずるものとする(「派遣先の講ずべき措置に関する指針」第2の2(第9の15参照))。

イ 就業条件の周知徹底

労働者派遣契約で定められた就業条件について、当該派遣労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者その他の関係者に当該就業条件を記載した書面を交付し、又は就業場所に掲示する等により、周知の徹底を図ること。

 就業場所の巡回

定期的に派遣労働者の就業場所を巡回し、当該派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約に反していないことを確認すること

ハ 就業状況の報告

派遣労働者を直接指揮命令する者から、定期的に当該派遣労働者の就業の状況について報告を求めること。

ニ 労働者派遣契約の内容の遵守に係る指導

派遣労働者を直接指揮命令する者に対し、労働者派遣契約の内容に違反することとなる業務上の指示を行わないようにすること等の指導を徹底すること。

 

(3) 労働者派遣契約の定めに違反する事実を知った場合の是正措置等

派遣先は、労働者派遣契約の定めに反する事実を知った場合には、これを早急に是正するとともに、労働者派遣契約の定めに反する行為を行った者及び派遣先責任者に対し労働者派遣契約を遵守させるために必要な措置を講ずること、派遣元事業主と十分に協議した上で損害賠償等の善後処理方策を講ずること等の適切な措置を講ずるものとする(「派遣先の講ずべき措置に関する指針」第2の5)。

 

(4) 法第43条による準用

労働者派遣契約に関する措置は、派遣元事業主以外の事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける場合も適用される。

 

 

 

3 適正な派遣就業の確保

 

(1) 概要

イ 派遣先は、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者から当該派遣就業に関し、苦情の申出を受けた時は、当該苦情の内容を当該派遣元事業主に通知するとともに、当該派遣元事業主との密接な連携の下に、誠意をもって、遅滞なく、当該苦情の適切かつ迅速な処理を図らなければならない法第40条第1項)。

ロ その他、派遣先は、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者について、当該派遣就業が適正かつ円滑に行われるようにするため、適切な就業環境の維持、診療所、給食施設等の施設であって現に当該派遣先に雇用される労働者が通常利用しているものの利用に関する便宜の供与等必要な措置を講ずるよう努めなければならない(法第40条第2項)。

 

(2) 苦情の適切な処理

イ 苦情の申出

派遣労働者から出される派遣先における苦情の申出(例えば、指揮命令の方法の改善等)は、派遣先事業主、派遣労働者を直接指揮命令する者、派遣先責任者に限らず派遣先や派遣先に代わって派遣労働者を管理する職務上の地位にある者が認識し得るものであれば申出としての効果を持つものであり、その方法は、書面によると口頭によるとを問うものではない


 

ロ 苦情の内容の派遣元事業主への通知

苦情の申出を受けた場合は、当該苦情の内容を、遅滞なく、派遣元事業主に通知しなければならない。ただし、派遣先において、申出を受けた苦情の解決が容易であり、現実的にその苦情を即時に処理してしまったような場合は、あえて派遣元事業主に通知するまでの必要はない。

ハ 苦情の処理の方法

(イ) 派遣労働者の苦情が、派遣先の派遣労働者への対処方法のみに起因する場合は派遣先のみで解決が可能であるが、その原因が派遣元事業主にもある場合は、単独では解決を図ることが困難であり、派遣元事業主と密接に連絡調整を行いつつ、その解決を図っていくことが必要である。いずれの場合においても、中心となってその処理を行うのは派遣先責任者であり、後者の場合にあっては、派遣先責任者が派遣元責任者と連絡調整を行いつつ、その解決を図らなければならない。

(ロ) 派遣先は、派遣労働者の受入れに際し、説明会等を実施して、派遣労働者の苦情の申出を受ける者、派遣先において苦情の処理をする方法、派遣元事業主と派遣先との連携を図るための体制等労働者派遣契約の内容について派遣労働者に説明するものとする(「派遣先の講ずべき措置に関する指針」第2の7(第9の15参照))。

ニ 苦情の申出を理由とする不利益取扱いの禁止

派遣労働者から苦情の申出を受けたことを理由として、当該派遣労働者に対して不利益な取扱いをすることは禁じられている(「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の7)。この禁止される「不利益な取扱い」には、苦情の申出を理由として当該派遣労働者が処理すべき業務量を増加させる等のような派遣労働者に対して直接行う不利益取扱いのほか、苦情の申出を理由として派遣元事業主に対して派遣労働者の交代を求めたり、労働者派遣契約の更新を行わない等の間接的に派遣労働者の不利益につながる行為も含まれるものである。

また、派遣労働者から苦情の申出を受けたことを理由とする労働者派遣契約の解除は、法第27条に違反するものでもあるので、これらについて十分に周知指導を行うこと。

 

(3) 適正な就業環境の確保

イ 適正な就業環境の確保

(イ) 適切な就業環境の維持、福利厚生等

派遣先は、その指揮命令の下に労働させている派遣労働者について、派遣就業が適正かつ円滑に行われるようにするため、セクシュアルハラスメントの防止等適切な就業環境の維持、その雇用する労働者が通常利用している診療所、給食施設等の施設の利用に関する便宜を図るように努めなければならない

また、派遣先は、派遣元事業主の求めに応じ、派遣労働者と同種の業務に従事している労働者等の福利厚生等の実状を把握するために必要な情報を派遣元事業主に提供する等の協力をするよう努めなければならないこと(「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の9の(1))。

この場合において、派遣先は、派遣労働者に対して、派遣先において同様の業務に従事する派遣先の労働者の均衡等を考慮した適切な就業環境の維持や、便宜を図るよう努めることが必要であることに留意すること。

(ロ) 教育訓練、能力開発

派遣先は、派遣元事業主が行う教育訓練や派遣労働者の自主的な能力開発等の派遣労働者の教育訓練・能力開発について、可能な限り協力するほか、必要に応じた教育訓練に係る便宜を図るよう努めなければならないこと(「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の9の(2))。

ロ 派遣労働者に対する説明会等の実施

派遣先は、派遣労働者の受入れに際し、説明会等を実施し、派遣労働者が利用できる派遣先の各種の福利厚生に関する措置の内容についての説明、派遣労働者が円滑かつ的確に就業するために必要な派遣労働者を直接指揮命令する者以外の派遣先の労働者との業務上の関係についての説明及び職場生活上留意を要する事項についての助言等を行うこと(「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の12)。

ハ 派遣元事業主との連絡体制の確立

派遣先は、派遣元事業主の事業場で締結される労働基準法第36条第1項の時間外及び休日の労働に関する協定の内容等派遣労働者の労働時間の枠組みについて派遣元事業主に情報提供を求める等により、派遣元事業主との連絡調整を的確に行うこと(「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の11(第9の15参照))。

 

(4) 雇用調整により解雇した労働者が就いていたポストへの労働者派遣の受け入れ

派遣先は、雇用調整により解雇した労働者が就いていたポストに、当該解雇後3か月以内に派遣労働者を受け入れる場合には、必要最小限度の労働者派遣の期間を定めるとともに、当該派遣先に雇用される労働者に対し労働者派遣の役務の提供を受ける理由を説明する等、適切な措置を講じ、派遣先の労働者の理解が得られるよう努めること(「派遣先の講ずべき措置に関する指針」第2の16)。

この趣旨は、安易な雇用調整の結果、派遣を受け入れるということは許されるものでなく、雇用調整により解雇した労働者が就いていたポストへの派遣の受入れについては、特に慎重に判断すべきことにある。なお、労働者派遣の「臨時的・一時的」な労働力の適正・迅速な需給調整としての位置づけを踏まえると、雇用調整により解雇した労働者が就いていたポストへの派遣の受入れについては、解雇後3か月以内かどうかにかかわりなく、慎重に対応することが適当であること。

 

(5) 安全衛生に係る措置

派遣先は、派遣元事業主が雇入れ時の安全衛生教育を適切に行えるよう、派遣労働者が従事する業務に係る情報提供を派遣元事業主に対し積極的に提供するとともに、派遣元事業主から雇入れ時の安全衛生教育の委託の申入れがあった場合には可能な限りこれに応じるよう努める等、派遣労働者の安全衛生に係る措置を実施するために必要な協力や配慮を行うこと(「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の17)。

なお、「派遣労働者が従事する業務に係る情報提供」の内容としては、例えば、派遣労働者が派遣先で使用する機械・設備の種類・型式の詳細、作業内容の詳細、派遣先の事業場における労働者に対する雇入れ時の安全衛生教育を行う際に使用している教材、資料等が考えられる。

 

 

4 派遣受入期間の制限の適切な運用

 

(1) 概要

派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務(一部の業務を除く。)について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない法第40条の2)。

 

(2) 意義

「臨時的・一時的」な労働力の適正・迅速な需給調整のために行う労働者派遣について、派遣先における常用雇用労働者の派遣労働者による代替の防止の確保を図るためである。

 

(3) 派遣受入期間の制限を受ける業務の範囲

イ 派遣先は、次の@からDまでの場合を除いて、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から派遣可能期間(5)により意見聴取を経て3年以内の派遣受入期間が定められている場合は当該定められた期間、それ以外の場合は1年)を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない

 

@ 次の(@)又は(A)に該当する業務であって、当該業務に係る労働者派遣が労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損なわないと認められるものとしてヘに掲げる業務(令第4条)(「26業務」、詳細別添

(@) その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務

(A) その業務に従事する労働者について、雇用形態の特殊性により、特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務

A 事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であって一定の期間(3年)内に完了することが予定されているもの(「有期プロジェクト業務」

B その業務が1か月間に行われる日数が、当該派遣就業に係る派遣先に雇用される通常の労働者の1か月間の所定労働日数に比し相当程度少なく、かつ、月10日以下である業務(「日数限定業務」

(@) 「通常の労働者」の所定労働日数とは、原則として、派遣先のいわゆる正規の従業員(常用雇用的な長期勤続を前提として雇用される者)の所定労働日数が「通常の労働者」の所定労働日数に該当する

ただし、当該派遣先の正規の従業員の方が少数である場合には、労働者派遣を受け入れようとする業務が属する事業場その他派遣就業の場所に、主として従事する労働者の所定労働日数を、「通常の労働者」の所定労働日数とする。

したがって、例えば、正規の従業員が約2割の場外馬券売場の事業場で、所定労働日数が月8日の有期雇用の労働者が主として従事する馬券販売の担当部門において、日数限定業務として派遣受入期間の制限なしに労働者派遣を受けようとする場合には、「通常の労働者」の所定労働日数は、月8日となる。

(A) 「相当程度少なく」とは半分以下である場合をいう。したがって、例えば、通常の労働者の所定労働日数が月20日の場合には、月10日以下しか行われない業務が対象となる。

(B) 日数限定業務に該当するためには、その業務が、通常の労働者の1か月間の所定労働日数の半分以下、かつ、月10日以下しか行われない業務であることが必要である。

したがって、「通常の労働者の1か月間の所定労働日数の半分以下、かつ、月10日以下」を超える日数行われている業務を分割又は集約し、その一部を「通常の労働者の1か月間の所定労働日数の半分以下、かつ、月10日以下」となる範囲において派遣労働者に従事させ、他の日は派遣先に雇用されている従業員のみで対応するような場合は、日数限定業務には該当せず、派遣受入期間の制限を受けることとなる。(例えば月15日発生する業務について分割し、月10日間を派遣労働者に従事させ、残りの月5日間を派遣先に雇用されている従業員に行わせるような場合は、その業務は月15日間行われていることから、日数限定業務に当たらない。また、「通常の労働者の1か月間の所定労働日数の半分以下、かつ、月10日以下」を超える日数行われている業務について、繁忙対策として、業務量の多い日のみ派遣先に雇用されている従業員に加え派遣労働者にも従事させるような場合も、日数限定業務には該当せず、派遣受入期間の制限を受けることとなる。)

(C) なお、日数限定業務に該当する業務としては、例えば、書店の棚卸し業務や、土日のみに行われる住宅展示場のコンパニオンの業務が想定される。

C 産前産後休業及び育児休業、並びに産前休業に先行し、又は産後休業若しくは育児休業に後続する休業であって、母性保護又は子の養育をするための休業をする場合における当該労働者の業務(則第33条)

D 介護休業及び介護休業に後続する休業であって、育児・介護休業法第2条第4号に規定する対象家族を介護するためにする休業をする場合における当該労働者の業務(則第33条の2)

なお、C及びDの業務については、当該業務に従事していた派遣労働者が、休業を終えて当該業務に復帰する労働者に対して引継ぎを行う場合は、当該時間が必要最小限のものである限り、C及びDの業務に含めて差し支えない。

 

ロ 特定製造業務に係る派遣受入期間の制限

(イ) 特定製造業務(イのC及びD以外の製造業務)に労働者派遣を受ける場合、イにかかわらず、派遣先は、平成19年2月末まで、同一の業務について、派遣元事業主から1年を超える期間継続して労働者派遣を受けてはならない(法附則第5項)。

なお、特定製造業務であっても、イの@からDまでに掲げる業務に該当する場合には、平成19年2月末までの間も、派遣受入期間の制限を受けずに、それぞれ定めるところにより、労働者派遣を受けることができる。

(ロ) なお、製造業務とは、具体的には、物を溶融、鋳造、加工、又は組み立て、塗装する業務、製造用機械の操作の業務及びこれらと密接不可分の付随業務として複数の加工・組立て業務を結ぶ場合の運搬、選別、洗浄等の業務をいうものである。

したがって、例えば、製品の設計、製図の業務、物を直接加工し、又は組み立てる業務等の工程に原料、半製品等を搬入する業務、加工、組立て等の完了した製品を運搬、保管、包装する業務、製造用機械の点検の業務、製品の修理の業務はこれに含まれない。

林業の業務は造林作業(@地ごしらえ、A植栽、B下刈り、Cつる切り、D除伐、E枝打、F間伐)及び素材(丸太)生産作業(@伐採(伐倒)、A枝払い、B集材、C玉切り(造材))に分けることができるが、このうち素材(丸太)生産作業については、立木を伐採し、最終的に丸太という人工物に「加工」するものであり、製造業務に該当するものであること、@からCまでの業務が時間的にも空間的にも連続的・一体的に営まれる業務であることから、素材(丸太)生産作業のすべての業務が製造業務に該当するものである。

また、造林作業のBからFまでの業務は労働者派遣の対象となるものであるが、これらの業務と素材(丸太)生産作業の業務を同一の派遣労働者が同時に併せて行う場合は、当該労働者派遣に製造業務が含まれているため、全体として製造業務に該当するものである。

なお、林業における労働災害の発生頻度は、他産業に比べ高い水準にあることにかんがみ、労働者派遣の受け入れに当たっては、労働安全衛生法等に十分に留意すること。

また、労働者派遣事業の対象となる業務については、安全衛生の徹底を図るため、以下の措置等を講ずることとしているので、十分留意すること。

@ 労働者派遣契約に安全及び衛生に関する事項を記載すること。

A 物の製造の業務に労働者派遣を行う場合には、製造業務専門派遣元責任者及び製造業務専門派遣先責任者を選任すること。

B 派遣元責任者及び派遣先責任者は、派遣労働者の安全及び衛生に関し、必要な連絡調整を行うこと。

C 派遣先は、派遣元事業主が派遣労働者の安全衛生に係る措置を実施するために必要な協力や配慮を行うこと

 

ハ 中高年齢者臨時特例措置の対象である派遣労働者のみを当該業務(特定製造業務を除く。)に従事させる場合にあっては、イにかかわらず、派遣先はイの@からDまでの場合を除いて、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から3年を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない

ニ イの@に該当する業務であっても、イの@からDまでに掲げる業務以外の業務を併せて行う労働者派遣の場合は、派遣受入期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。

ただし、イの@からDの派遣受入期間の制限がない業務の実施に伴い、付随的にイの@からD以外の派遣受入期間の制限のある業務を併せて行う場合であって、かつ、派遣受入期間の制限がある業務の割合が通常の場合の1日当たり又は1週間当たりの就業時間数で1割以下の場合には、全体として派遣受入期間の制限を受けない業務として取り扱って差し支えない

なお、この場合には、労働者派遣契約において、それぞれの業務の内容及びそれぞれの業務の通常の場合の1日当たり又は1週間当たりの就業時間数又はその割合を定めることが必要である。

また、派遣先は上記の制限を遵守するため就業時間の管理を的確に行う必要がある。

ホ イの@に該当する業務は、令第4条で定める業務のとおり。

 

 

(4) 派遣受入期間の制限の適切な運用

派遣先は、法第40条の2の規定に基づき常用雇用労働者の派遣労働者による代替の防止の確保を図るため、次に掲げる基準に従い、事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない(法第40条の2、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の14)。

イ 事業所その他派遣就業の場所については、課、部、事業所全体等、場所的に他の部署と独立していること、経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、一定期間継続し、施設としての持続性を有すること等の観点から実態に即して判断する。

ロ 同一の業務については、労働者派遣契約を更新して引き続き当該労働者派遣契約に定める業務に従事する場合は同一の業務に当たるものとする

上記のほか、派遣先における組織の最小単位において行われる業務は、同一の業務であるとみなす。なお、この場合における最小単位の組織としては、業務の内容について指示を行う権限を有する者とその者の指揮を受けて業務を遂行する者とのまとまりのうち最小単位のものをいい、係又は班のほか、課、グループ等が該当する場合もあり、名称にとらわれることなく実態により判断すべきものとする。

ただし、@派遣労働者の受入れに伴い係、班等を形式的に分ける場合、A労働者数の多いこと等に伴う管理上の理由により係、班等を分けている場合B係、班等の部署を設けていない場合であっても就業の実態等からこれらに該当すると認められる組織において行われる業務については、同一の業務であるとみなすものとする

偽りその他不正の行為により労働者派遣の役務の提供を受けている又は受けていた係、班等の名称を変更し、又は組織変更を行うなど、従来の係、班等とは異なる係、班等に新たに労働者派遣提供を受け、又は受けようとしているものと判断する。

その他法第40条の2の規定に照らし、就業の実態等に即して同一の業務であるか否かを判断する。

ハ 「同一の業務」に係る判断の具体例は次のとおりである。

「同一の業務」に係る具体例

組織の最小単位(係、班等)内で異動

・ 仮に隣の机に変わった場合でも、それが同じ係、班の中の業務であれば、表面上は違った仕事に見えても「同一の業務」として規制される。

・ 1つの係で庶務的な業務と営業事務補助の業務をしている場合に、派遣労働者が営業事務補助の業務で派遣されてきたが、3年経ったので隣の人が行っていた庶務的な業務も併せて行うことはありうるが、こうしたものは期間制限違反として禁止される。同様に、3年経ったので営業事務補助の業務での派遣就業を終了し、隣の人が行っていた庶務的な業務での派遣就業をすることも期間制限違反として禁止される。

・ 1つの係で庶務的な業務と営業事務補助の業務をしている場合に、派遣労働者が営業事務補助の業務で派遣されてきたが、3年後に当該業務が消滅し、隣の人が行っていた庶務的な業務に移ることも期間制限違反として禁止される。

組織の最小単位を超えた異動

・ 脱法を避けるという点に留意しながら解釈する必要があるが、基本的には「係」、「班」等場所が変われば「同一の業務」を行うとは解釈できず、違った派遣が受けられる。

・ 組織が、例えば類似の業務が多くていくつかの班に管理上便宜的に分けているに過ぎない場合には、実態を見て「同一の業務」かどうか判断する。

・ 班を越えても、労務管理の便宜上、例えば特定の管理者の管理の範囲を超えるので班を3つから5つに増やした場合に、ある班にいた派遣労働者が同様の仕事を別の班に移って行うことは「同一の業務として解釈すべき。

組織の最小単位の名称(プロジェクトの場合)

・ 企業経営も変化を遂げて、中間管理職の排除であるとか組織のフラット化といった現象が進行していることから、係や班というのは例示として位置付け、基本的な概念は、同種労働を行って企業を支えている最小の企業組織を「同一の業務」の判断の中心にすべき。

・ 単に名前がプロジェクト・チームであっても実際には恒常的な係や班だということになれば、「同一の業務」の規定の適用を受ける。

派遣就業中に組織を再編した場合

・ 1つの係が2つに分かれてその係が実質的に違った業務を行っている、そういう再編成であれば「同一の業務」といえない場合もある。一方、形式的に分けた場合であれば、「同一の業務」を相変わらず行っていると判断される。

(参考)

なお、「同一の業務」については、更新された労働者派遣契約に基づき従前と同じ業務に就く場合のように紛れなく「同一の業務」に該当すると判断できる場合もあるが、我が国の企業組織においては、一般に個々の労働者の業務が細分化されて定義されておらず、上司の日々の指揮命令により所属組織の所掌事務の範囲内で柔軟に業務を遂行している実態からすると、個々人の業務はめまぐるしく変わっていくため、いかなる範囲を「同一の業務」ととらえるか判断が難しい場合が多い。このため、業務の内容についての最小の指揮命令単位(指揮命令権者は通常何らかの役職者であるから、最小の指揮命令単位は最末端の役職者(「係長」、「班長」、「グループ・リーダー」等)及びその指揮命令を受ける労働者のまとまり=組織の最小単位となる。)における業務を「同一の業務」とみなすことを判断基準とするものである。

ニ 労働者派遣の役務の提供を受けていた派遣先が新たに労働者派遣の役務の提供を受ける場合に、当該新たな労働者派遣と当該新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣との間の期間が3か月を超えないとき、当該派遣先は、当該新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣から継続して労働者派遣の役務の提供を受けているものとみなす

派遣受入期間の判断は、継続していると判断される最初の契約の始期から最後の契約の終期までの期間により行う

ホ なお、ここでいう事業所とは、雇用保険法等雇用関係法令における概念と同様のものであり、出張所、支所等で、規模が小さく、その上部機関等との組織的関連ないし事務能力からみて一の事業所という程度の独立性がないものについては、直近上位の組織に包括して全体を一の事業所として取り扱う。

 

(5) 派遣受入期間の設定方法等

イ (3)のイの@からD以外の業務の派遣受入期間の制限は、次のとおりである(法第40条の2第2項)。

(イ) ロにより労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間が定められている場合

・・・その定められている期間

(ロ) (イ)以外の場合                  ・・・1年

なお、上記にかかわらず、特定製造業務については平成19年2月末までは1年となり、また、中高年齢者である派遣労働者のみを当該業務(特定製造業務を除く。)に従事させるときは平成17年3月末までは3年となる(3)のロ参照)。

ロ 遣先は当該派遣先の事業所その他の派遣就業の場所ごとの同一の業務(3)のイの@からD以外の業務)について遣元事業主から1年を超え3年以内の期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けようとするときは、あらかじめ、ハにより、当該労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間を定めなければならない(法第40条の2第3項)。

ハ 派遣先はロの期間を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、当該派遣先の事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合(以下、「過半数組合」という。)、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者(以下、「過半数代表者」という。)に対し、当該期間を通知し、その意見を聴くものとする(法第40条の2第4項)。

派遣先が過半数組合又は過半数代表者(以下、「過半数組合等」という。)の意見を聴くこととする趣旨は、臨時的・一時的な業務の処理にどの程度の期間が必要かは、派遣先が判断すべき事項であるが、この判断をより的確に行うため、派遣先が臨時的・一時的な業務の処理に必要な期間であると判断したものが適当であるかについて、現場の実状等をよく把握している派遣先の労働者の意見を聴くこととするものである。

こうした趣旨や以下に掲げる内容を十分に踏まえ、意見聴取が確実に行われるよう、また意見が尊重されるよう、関係者に対する十分な周知及び指導を行うこと。

なお、当該手続は、次によるものとする

(イ) 意見聴取の際に、過半数組合等に次に掲げる事項を書面により通知すること(則第33条の4第4項)。

@ 労働者派遣の役務の提供を受けようとする業務

A 労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間を新たに定める場合にあっては、当該業務に労働者派遣を受けようとする期間及び開始予定時期

(労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間を変更する場合は、変更しようとする期間)なお、@及びA以外の項目、例えば労働者派遣を受けようとする人数等を通知することとについては、法令で求めるものではないが、関係労使間で通知するか否かを決定すべきものであること。

(ロ) また、派遣先は、当該派遣受入期間を定めるに当たっては、次に掲げる事項を書面に記載し、当該労働者派遣の終了の日から3年間保存しなければならない(則第33条の3)。

@ (イ)により、意見を聴取した過半数労働組合の名称又は過半数代表者の氏名

A (イ)により過半数組合等に通知した事項及び通知した日

B 過半数組合等から意見を聴いた日及び当該意見の内容

C 意見を聴いて、(イ)のAの労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間又は変更しようとする期間を変更したときは、その変更した期間

(ハ) 過半数代表者は、以下のいずれにも該当する者とすること(則第33条の4)。

@ 労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。

A 労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間に係る意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること。

なお、@に該当する者がいない事業所にあっては、Aに該当する者とすること。

また、派遣先は、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

なお、「投票、挙手等」の方法としては、「投票、挙手」のほか、労働者の話合い、持ち回り決議等労働者の過半数が当該者の選任を支持していることが明確になる民主的な手続が該当する。

ニ 労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間に係る意見聴取の適切かつ確実な実施(「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の15)

(イ) 派遣先は、法第40条の2第4項の規定に基づき、当該派遣先の事業所の過半数組合等に対し、労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間について意見を聴くに当たっては、当該期間等を過半数組合等に通知してから意見を聴くまでに、十分な考慮期間を設けるものとすること。

(ロ) 派遣先は、過半数組合等から、労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間が適当でない旨の意見を受けた場合には、当該意見に対する派遣先の考え方を過半数組合等に説明すること、当該意見を勘案して労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間について再検討を加えること等により、過半数組合等の意見を十分に尊重するよう努めるものとすること。

ホ その他

(イ) 意見聴取は、派遣を受け入れようとする業務ごとに行う必要があるが、一時に複数の業務についてまとめて意見聴取を行うことは可能である。

(ロ) 意見聴取を行う時期については、1年を超える派遣を受け入れようとする業務の発生が事前に見込まれる場合には、派遣の受入れ日に近接した時点でなくとも、事前に意見聴取を行っておくことができる。